トム・クルーズ主演のスリラー/ロマンス映画『バニラ・スカイ』のあらすじと感想をまとめた記事です。ネタバレなしの感想とネタバレありの感想を分けていますので、未視聴の方もご覧いただけます。
Contents
映画『バニラ・スカイ』とは?
『バニラ・スカイ』の作品情報
制作:2001年
時間:137分
作品ジャンル:スリラー/ロマンス/サスペンス
監督:キャメロン・クロウ
主要キャスト:トム・クルーズ /ペネロペ・クルス /キャメロン・ディアス
『バニラ・スカイ』の登場人物
デヴィッド(トム・クルーズ)
亡き親のポスト(出版社社長)と共に莫大な遺産を得たイケメン大富豪。女遊びが激しく、親友の想い人を横取りするなど、その性格は非常に自由。
ソフィア(ペネロペ・クルス)
マンハッタンに暮らすダンサーにして、デヴィッドや後述のブライアンを一目惚れさせる程のルックスの持ち主。そんなソフィアとの出会いにより、デヴィッドは数奇な運命を辿ることとなる。
ジュリー(キャメロン・ディアス)
デヴィッドの(元)恋人。デヴィッドに深い愛情を抱いており、それゆえにソフィアに対する激しい嫉妬を見せた。
ブライアン(ジェイソン・リー)
デヴィッドの親友。自由奔放なデヴィッドと近しい距離を保ち続け、本作のキーとなる名言を放った。
マッケイブ(カート・ラッセル)
デヴィッドの精神分析を担当した医師。収監間際のデヴィッドと面会を繰り返し、「事件」の真相に近付く。
『バニラ・スカイ』のあらすじ
出版社の社長を務めるデヴィッドは、マンハッタンに豪邸を構えており、高級外車を乗り回す豪奢な生活を送っていた。
マドンナ的存在であったジュリーをガールフレンドとし、順風満帆な人生を謳歌するデヴィッド。
そんなある日、彼は自身の誕生日会にて、運命の女性との出会いを果たす。その女性とは、親友のブライアンの心をも射止めた若きダンサー ソフィア。
デヴィッドはソフィアとの逢瀬を重ね、ゆっくりと心の距離を縮めて行く。
そんな折、デヴィッドを本気で愛していたジュリーは、段々と嫉妬に狂い始めてしまう。
その後ジュリーが起こした行動は、デヴィッドの人生を180度変えてしまい……。
映画『バニラ・スカイ』の感想
映画『バニラ・スカイ』の感想|ネタバレなし
映画『バニラ・スカイ』の感想をネタバレなしで記述しています。
未視聴の方も安心してご覧ください。
内容が難しい?
『バニラ・スカイ』の口コミや感想に目を通していると、「難しい」と言う旨の書き込みが複数見られました。
それもそのはず、詳細は記載しませんが、『バニラ・スカイ』は少々ややこしいストーリーに仕上がっています。
とは言え、ある程度理解できない部分があっても楽しめる作品ですので、「難しい作品である」と身構えず、リラックスして視聴に臨んでほしいものです。
ホラー要素がある?
Googleに「バニラスカイ」と入力してみると、「怖い」というサジェストワードが並んでいます。
確かに本編では、ホラー映画さながらの視聴者を驚かせるシーンが挟み込まれていました。
ラストに向けて視聴者を飽きさせないための演出と思われますが、これがなかなかのインパクト。トラウマになる……とまでは言いませんが、「怖い」と言う感想が出てきても不思議ではない程度のものではあります。
とは言え、ホラー展開が主軸の映画ではありませんので、ホラーが苦手な方も安心して視聴ください。
全体的な満足感
本記事後半で詳しく記述していますが、私が『バニラ・スカイ』を観たきっかけは、『チェンソーマン』をより楽しむためです。
惰性で……とまでは行かずとも、「一応観ておくか」程度の気持ちで観始めました。
前情報もほとんどシャットアウトした上でいざ視聴してみると……。
なんとまさかのブッ刺さり。
「具体的にどう刺さったのか」は、後述のネタバレありの感想パートに譲るとしますが、観終えた後には何とも言えない満足感に浸っていたことを覚えています。
『バニラ・スカイ』の視聴を迷っている方は、とにかく前情報に惑わされず、一度観てみてください。
『チェンソーマン』が好きな方であれば、殊更に。
ぜひ、ぜひ。
映画『バニラ・スカイ』の感想|ネタバレあり
映画『バニラ・スカイ』の感想をネタバレありで記述しています。
物語の核心にも触れていますので、未視聴の方は十分にご注意ください。
「どこからが夢だったのか」について
夢と現実を行き来し、時には夢の中の夢や幻すらも参戦してくるとあって、気を抜けば訳が分からなくなってしまいそうな映画『バニラ・スカイ』。
「結局どこからが夢だったのか分からない」と言う口コミも複数見られましたから、一般的には難解な部類に入る映画です。
確かに、現実・夢・幻を行き来した末、最後にそのほとんどがそもそも夢だったと明かされるのですから、理解を諦めてしまう人が出てきても不思議ではありません。
しかし、この作品の本質と「どこからが夢だったか」は、切り離して考えて良いように思われます。
重要な点は、”明白な事実”。
……まず挙げられるのが、主人公のデヴィッドが100年以上もの間を冷凍されて過ごしたと言う点です。つまり、もう現実世界に彼を知る人も彼が知る人も存在しません。
そしてもう一つ。
目覚めなければ、甘い夢の世界の中で生き続けられるのです。
目を覚まして辛い現実を生きるか、目を閉じたまま幸せな夢を享受するか。
この選択こそが『バニラ・スカイ』の最も重要な部分でしょう。
すなわち、「どこからが夢だったのか」はきっと二の次で良いのです。
※ちなみに、クラブを後にしたデヴィッドが路上で倒れ込むまでが現実であり、その翌朝ソフィアに起こされるシーンからが夢です。現実のデヴィッドはソフィアに起こされることなく、ODで自殺を図りました。ODを行う前に「エリー」と契約。クラブでの出来事の後、「ソフィアに起こされる」と言う設定で”リアルな夢”を視始めたのです。
猫に生まれ変わった時に
作品中盤、潰れてしまった顔でクラブを訪れたデヴィッドは、ソフィアとの”出会い”をやり直そうとしていました。
しかし、何か言いたげな表情を見せるソフィア。
デヴィッドは「何か言いたいことがあるなら今言ってくれ」と懇願しますが、ソフィアは「今度言うわ」の一点張りです。
執拗に「言ってくれ」と続けるデヴィッドに根負けし、ソフィアは「今度2人とも猫に生まれ変わった時に言う」と回答しました。
何だか印象的なこのセリフは、ラストシーンできっちり回収されたのです。
「幸せな夢」と「辛い現実」の二択を突き付けられたデヴィッドは、後者を選択してソフィアとの別れを決めます。
微笑むソフィアに、「別の世界で会おう 猫に生まれ変わって」と発言。
そしてデヴィッドは、答えを聞かずに背を向け、”現実”へと走り出したのです。
このシーンが流れた頃には既に満足感で満たされていたのですが、更なる衝撃に襲われました。
『バニラ・スカイ』……最高。
人生の「甘さ」
ブライアンが述べた「人間は苦さを味わってこそ甘さがわかるんだ」や、作品終盤のエドモンドによる「酸っぱさがなければ甘さは感じられない」と言うセリフ。
「甘さ」については作品の至る所で言及されていました。
主人公のデヴィッドは、事故を通して人生の”苦味”を一挙に噛み締めることとなります。
その上で、甘い夢の世界を生きることにしたデヴィッド。
しかし彼は、甘い夢の世界を偽物と断じ、辛く苦い現実に戻ることを決意しました。
前述の「猫に生まれ変わって」のセリフもそうですが、とにかく『バニラ・スカイ』はラストが良過ぎます。
そもそも『バニラ・スカイ』と言う作品の良さは、オチに集約されている気がします。
もちろん、オチに至るまでの道筋も極めて重要であり、その道筋に視聴者を飽きさせないような工夫が散りばめられていることは言うまでもありません。
オチでドッと満足感が押し寄せる、あの”映画を観た”と言う感覚……カタルシスが最高なんですよね。
まとめ
以上、映画『バニラ・スカイ』のあらすじと、ネタバレあり/なしの感想をそれぞれご紹介しました。
視聴後に後悔はしないはず。迷っている未視聴のあなたは、是非視聴してみてくださいね。